週末のあなたへ 専業主夫が贈る良質な本 第2弾 永遠を旅する者
週末のあなたへ贈る本シリーズ第2弾!
今回は「永遠を旅する者」をレビューしちゃいます^^
表紙のイラストは「スラムダンク」で有名な井上武彦先生が描き下ろしております!
元々、この短編小説集は「ロストオデッセイ」というゲームとのタイアップのために、2006年に出版されました。
私もこの本を手に取ったきっかけはゲームをプレイしたことからです。
ただ、ゲームをやらなくても全く問題なく読める作品なのでご安心ください^^
本書のテーマは「一期一会」です!
不死ゆえに幾度も最愛の家族を失う主人公カイム.アラゴーナ。
永遠の時を生きる彼にとって、家族ですら一瞬の出会いなのです。
しかし、家族を幾度も失うも彼の痛みは変わることはありません。.
普段感情を表にだすことがない彼の哀しみには思わず涙腺が…。
通勤時にはご注意を!
これから家庭を持つ方には本書を特にお勧めする一冊です^^
1.各項目レビュー
読みやすさ ★★★★☆
本書には1話あたり平均10ページ程の短い話が31本収録されています。
私は通勤時と帰宅時の電車内の中で1話ずつ見ていました。
文庫本の場合ですと、少し字が小さいの多少の読みにくさは感じます。
ですが、一話完結の構成ですので途中で読むことがだるくなるようなことはないです。
各話によって内容が全然違うので新鮮な気分で次にいけちゃいます!!
内容 ★★★★★
本書のストーリーはタイトル通り、永遠を生きる主人公カイムの出会いと別れをメインにしております。
「1000年を生きるということは1000年分の別れを背負うこと」
このキャッチフレーズの重みが嫌というほど心に伝わります。
主人公カイムはある時は傭兵として、またある時は父親として様々な人々出会います。
街で少し話した少女が数十年後に再度訪れたときは老婆になったシーンなど、不死だからこそ感じる視点は大変興味深いです。
また、文字だけで登場人物の死に顔がはっきりとイメージできる点がこの小説の特徴と言えます。
人の死は時に美しいものだとすら思わせられることも。
著者である重松清先生は一瞬の生をこれまで描いており、今回の小説の依頼を受けたときは非常に悩んだそうです。
まさに重松先生の死生観が詰まった本と言えるでしょう!!
私が一番感銘を受けた話
私が繰り返し読んだ短編が「光の雨」というお話です。
とある孤島に住む少年と主人公カイムの短い出会いの話になります。
生まれてから一度も島から出たことがない少年は、光の雨が降る「あの国」に
大きくなったら行きたいとカイムに目を輝かせて語ります。
しかし、少年が「光の雨」と呼ぶそれは「あの国」を占領しようとする大国の艦砲射撃なのです。
それを知らずに美しいと語る少年の無邪気さがとても切なくなります。
この話は私たちの世界の様子をそのまま当てはめることができます。
特に、現在の日本は移民受け入れ問題で物議をかもしております。
この話を読み私はこの話題にに注目をするようになりました。
発展途上の国の少年が先進国から来た者から外の世界の話を聞き、目を輝かせる様子は
アフリカや貧民国の子供たちをイメージせずにはいられません。
きっと、少年が初めて覚える「あの国」の言葉は、自分を指す、こんな一言だ。
密航者ー。
このワードには差別や偏見はもちろんのこと、自分たちとはちがう人間を排除しようとする意味が山ほど含まれてることでしょう。
私はこの本を読むまでは何の考えもせず「密入国者」や「移民」というワードを使っていました。
日本に来る外国人の方々は皆様々な事情があるんですよね。
そのことを考慮しないで、ただ異端な存在と片づけてしまうことは無責任です。
我々も島国という意識を変えなければならないのかもしれませんね。
今回は初めて小説の紹介をしてみました。
次はハウツー本などの特集をしたいと思います!!!
最後まで読んでくださった読者様、本当にありがとうございました^^